交通事故のむちうち症について
最終更新日 2021/09/04
交通事故のケガで一番多いのがこの『むちうち症』です。
むちうち症は交通事故の衝撃の時に頭がおもりになり鞭のように首がしなった際に起こります。
このために『むちうち症』という名称で呼ばれるようになりました。
交通事故のむちうち症について もくじ
・交通事故でむちうちになりやすい理由
・追突の方向でのむちうち症の違い
・むちうち症の4つの症状を説明
・まとめ
・交通事故でむちうちになることが多い理由
交通事故でむちうちになりやすい理由は車に乗っている時の体勢にも原因があります。
自動車に乗っている時にはシートと背中までは接していますが首と頭はシートと接していないため
交通事故の衝撃を受けた際に体は衝撃で押された方向に移動しようとする力が働きますが
反対に頭はその場にとどまろうと踏ん張ります。
その時にだるま落としのような状態が頭と首の間で起こります。
これが交通事故でむちうちになることが多い理由です。
首は大きくて重い頭を支えている元々とても負担のかかりやすい場所です。
そこにさらに頭の重さと体の移動で互い違いに動かされたら….むちうち症は症状によって長引いてしまうことが想像できると思います。
・追突の方向でのむちうち症の違い
むちうち症は追突の衝撃を受ける方向により
様々な症状がおこります。
ここでは追突の方向とその時にどのような症状が起こりやすいかについて説明します。
・前からの追突でのむちうち症

前から受けた衝撃の場合は相手の車を予知しやすいために首に前もって力を入れられることが多く首の損傷は比較的軽度です。
しかし恐怖感からハンドルを押し付けたり、力いっぱいハンドルをきるなどの手首のケガがおこることもあります。
また首から背中までに力を込めるための腰の損傷、急ブレーキを踏むときに膝を痛めるなどの広範囲のケガが起こる可能性があります。
また事故の瞬間を思い出すなどの精神的なショックを受けやすいのも前からの交通事故の場合には考える必要があります。
・横からの追突でのむち打ち症

頚椎はもともと横に曲げる動きは不得意なため、この方向からのむちうち症は長引くことが多くなります。
特に斜め横方向からの衝撃の場合は角度によっては頚椎は複雑な損傷を受けます。
・後ろからの追突でのむちうち症

後ろからのむちうち症は予知ができないことが多く
力を抜いた状態で急に追突されるため追突の衝撃が大きくなくても重篤な症状が起こる可能性のあるむちうち症です。
また曲がろうと対向車が途切れるのを待っていた時などに後ろから追突されると
首が横に振り返った時に衝撃を受けり受けるため、より強い症状が出やすい傾向があります。
・むちうち症の4つの症状を説明

① 頚椎の捻挫が主な原因のむちうち症
頚椎の骨と骨の間が捻られてそれらをつないでいる筋肉や靭帯、椎間板や関節包といった組織を痛めることによっておこります。
頚椎捻挫型は筋肉損傷型と椎間関節損傷型、椎間板損傷型に分かれます。
・首が動かしづらい
・首からのだるさがある
・頭が重たい
・頭痛がある
・肩のコリが強くなった
などの症状が起こります。
・筋肉損傷型
主に胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)や斜角筋(しゃかくきん)などといった
頚椎を支える縦の走行の筋肉を損傷しておこります。寝違えみたいに首が動かなくなることはありますが、
筋肉のみの損傷の場合は適切に処置をすればあまり長引かず完治することが多いです。
ただ長引くと筋肉の中にトリガーポイントという筋肉の固まりができてしまうことがありそれができてしまうと長くかかることもあります。
捻挫ですので足首や手首の捻挫の時と一緒で周りの筋肉や靭帯になるべく負担がかからないようにしながら治していきます。
・椎間関節損傷型
頚椎椎間関節という頚椎と頚椎の間と骨の連結場所を痛めてしまうものです。
受傷後から2、3日経ってから首が動かないくらいの症状が出現することもあり、長引くことが多いケガになります。
特に椎間板というクッションがない上部の頚椎の連結分は痛めた時の腫れが顕著に表れて強い症状になりやすいので注意が必要です。
・椎間板損傷型
頚椎の間の椎間板というクッションがダメージを受けて腫れてしまう症状です。
重度の症状の場合は椎間板の中身が飛び出して神経にふれると、頚椎椎間板ヘルニアになることもあります。
首を痛めた神経の方向に曲げたり、咳やくしゃみなどの急な動きの時に痛みやしびれが強くなります。
② 神経の症状が原因のむちうち症
・神経根損傷型
首が強くしなることで頚椎から肩に神経が出るところで神経が引く伸ばされて損傷します。
首の痛みとともに肩、腕、肘や背中の痛みや感覚異常、手のしびれなどが起こります。
時間とともに症状が強まる傾向があります。
神経根が損傷するのとともに椎間板も損傷していることもあり、長引くことの多いむちうち症です。
・頚髄(脊髄)損傷型
バイク事故などの
とても衝撃の大きな事故の場合になってしまうことがあります。
背骨の中で脳からの太い神経が損傷されることで
脳からの指示が手足に届きにくくなりますので手足のまひ、しびれがおこります。
脊髄の損傷が大きければ麻痺の症状は回復するのはとても大変なことです。
脊髄は重度の損傷を受けると再生は非常に困難になります。
比較的に脊髄の損傷が軽度で回復の見込みがある時は
麻痺している筋肉が治療を受けていくとしびれや痛みなどの症状に変わっていき回復していく場合もあります。
この場合は整骨院だけではなく、整形外科や鍼灸治療も取り入れながら治療を進めていく事が必要になります。
➂ 自律神経の障害されたむちうち症
・脳底動脈血流障害型
頚椎がずれることで頚椎から脳に血液を送る椎骨脳底動脈の血流が悪くなることでおこります。
・自律神経障害型
背骨の横を網の目を張るように走行する自律神経が損傷され炎症が起こることでおこります。
頭痛、頭の重たさ、めまい、耳鳴り、視力の低下、耳の閉塞感、集中力の低下、内臓機能の低下、吐き気などがおこる可能性があります。
④ 脳脊髄液減少症からくるむちうち症
脳脊髄液とは脳と脊髄を包んでいる硬膜という膜の中を満たしている透明な液体です。
交通事故の衝撃により硬膜に小さな穴が開いて脳脊髄液が漏れ出てしまい減少してしまうものです。
立ち上がった時の頭痛やめまい、吐き気、視力の低下、集中力の低下などの症状が出現します。
これらのむちうちの症状は重複して現れることもあります。そのような場合はより一層の精神的なケア重要になります。
・まとめ
むちうち症は重い頭がしなるときに頚椎を痛めるものをいう
【 追突されえる方向により特徴的な症状が起こりやすい 】
・前方から追突された場合は
とっさに色々な所に力が入るため
首はもちろん、手や腰、膝なども痛めろことがある
・側方からの追突は
もともと首が動かない方向にしなるため
頚椎はダメージを受けやすく症状が長引きやすい
・後方からの追突の場合は
一番多いのがこのタイプ
前もって身構えられないため
不意に衝撃を受けることが多い
車の損傷はたいしたことなくても
頚椎のダメージは大きいこともある。
【 むちうち症は大きく4つの症状に分けられる 】
・頚椎捻挫型( 筋肉損傷型・椎間関節損傷型・椎間板損傷型 )
・神経症状型( 神経根損傷型・頚髄(脊髄)損傷型 )
・自律神経型( 脳底動脈血流障害型・自律神経障害型 )
・脳脊髄液減少症型
専門的な内容もばかりだったでしたよね。
患者さんはこれらを覚える必要はありませんが
むちうち症と一言でいっても様々な症状がありことはご理解いただけたと思います。
大切なことは
むちうち症のでかたは人それぞれ違うということをしっかり認識した上で治療に臨むことだと考えています。
接骨院や整形外科に通う時は遠慮せずに
ご自身の症状をしっかり伝えてください。
治療院の先生もあなたの言葉を受け止めて
治療に活かしてくれることと思います。