交通事故での衝撃の方向による
様々なむちうち症について
最終更新日 2022/06/01
交通事故のケガで一番多いのは首の『むちうち症』です。
むちうち症は交通事故の衝撃の時に、頭がおもりになり鞭のように首がしなった際に起こります。
このために『むちうち症』という名称で呼ばれるようになりました。
交通事故のむちうち症について もくじ
・交通事故でむちうちになりやすい理由
・追突の方向でのむちうち症の違い
・むちうち症の4つの症状を説明
・まとめ
・交通事故でむちうちになることが多い理由
交通事故でむちうちになりやすい理由は車に乗っている時の体勢にも原因があります。
自動車に乗っている時にはシートと背中までは接していますが首と頭はシートと接していないため
交通事故の衝撃を受けた際に体には衝撃で押された方向に移動しようとする力が働きますが
頭は反対にその場にとどまろうとします。
その時にだるま落としのような状態が頭と体の間の首で起こります。
これが交通事故でむちうちになることが多い理由です。
首は大きくて重い頭を支えていて、元々とても負担のかかりやすい場所です。
そこにさらに頭の重さと体の移動で首が互い違いに動かされたら….むちうち症は衝撃により長引いてしまうこともあることが想像できると思います。
・追突の方向でのむちうち症の違い
むちうち症は追突の衝撃を受ける方向により
様々な症状がおこります。
ここでは追突の方向とその時にどのような症状が起こりやすいかについて説明します。
・前からの追突でのむちうち症
前から受けた衝撃の場合は相手の車を予知しやすいために、首に前もって力を入れられることが多く、保険担当者からは首の損傷は比較的軽度と判断されることもあります。
しかし恐怖感から勢いよく首を振り返ってしまったりして、頚椎を捻挫したり、手でハンドルを強く押し付けたり、力いっぱいハンドルをきるなどの手首のケガが起こる場合もあります。
また首から背中までに力を込めるための腰の損傷や、急ブレーキを踏むときに足首や膝を痛めるなど、広範囲のケガが起こる可能性があります。
また事故の瞬間を思い出してしまうなどの精神的なショックを受けやすいことも、前方からの交通事故の場合には考える必要があります。
・横からの追突でのむち打ち症
頚椎はもともと横に曲げる動きは不得意なため、この方向からのむちうち症は症状が長引くことが多くなります。
特に斜め横方向からの衝撃の場合は角度によっては頚椎は複雑な衝撃を受け、損傷します。
横や斜めからの場合は体が大きく振られて、窓ガラスやドアに頭や肩などをぶつけ、痛めることもあります。
・後ろからの追突でのむちうち症
後ろからのむちうち症は予知ができないことが多く
力を抜いた状態で急に追突されるため、追突の衝撃が大きくなくても体には重篤な症状が起こる可能性があります。
また右に曲がろうと首を大きく振り返り、対向車が途切れるのを待っていた時などに後ろから追突されると
首を大きく捻りながら衝撃を受けり受けるため、より強い症状が出やすい傾向があります。
・むちうち症の4つの症状を説明
① 頚椎の捻挫が主な原因のむちうち症
頚椎の骨と骨の間が捻られてそれらをつないでいる筋肉や靭帯、椎間板や関節包といった組織を痛めることによっておこります。
頚椎捻挫型は筋肉損傷型と椎間関節損傷型、椎間板損傷型に分かれます。
ちょっと専門的になりますが、一つ一つご説明しますね!
症状としては
・首が動かしづらい
・首からのだるさがある
・頭が重たい
・頭痛がある
・肩のコリが強くなった
などの症状が起こります。
・筋肉損傷型
主に胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)や斜角筋(しゃかくきん)などといった
頚椎を支える縦の走行の筋肉を損傷しておこります。寝違えみたいに首が動かなくなることはありますが、
筋肉のみの損傷の場合は適切に処置をすればあまり長引かず完治することが多いタイプです。
ただ長引くと筋肉の中にトリガーポイントという筋肉の固まりができてしまうことがあり、それができてしまうと長くかかることもあります。
捻挫ですので足首や手首の捻挫の時と一緒で、周りの筋肉や靭帯になるべく負担がかからないようにしながら治していきます。
・椎間関節損傷型
頚椎椎間関節という頚椎と頚椎の間の骨の連結場所を痛めてしまうタイプです。
受傷後から2、3日経ってから首が動かないくらいの症状が出現することもあり、比較的長引くことが多いむちうち症になります。
特に椎間板というクッションがない上部の頚椎(頚椎1番と2番の間)の連結分は痛めた時の腫れが顕著に表れるため強い症状になりやすいのでこの部分の損傷には注意が必要です。
・椎間板損傷型
頚椎の間の椎間板というクッションがダメージを受けて腫れてしまう症状です。
重度の症状の場合は椎間板の中身が飛び出して神経にふれると、頚椎椎間板ヘルニアになることもあります。
痛めた神経の方向に首を曲げたり、咳やくしゃみなどの急な動きの時に椎間板が刺激され、痛みやしびれが強くなります。
椎間関節損傷型よりも長引きやすいタイプになります。
② 神経の症状が原因のむちうち症
・神経根損傷型
首が強くしなることで頚椎から肩への神経が引き伸ばされて損傷します。
首の痛みとともに肩、腕、肘や背中の痛みや肩から指までの感覚異常、手のしびれなどが起こります。
時間とともに症状が強まる傾向もあります。
神経根が損傷されるのとともに椎間板も損傷していることが多く、接骨院にお越しになられる方で最も長引くことの多いむちうち症です。
・頚髄(脊髄)損傷型
バイク事故などの
とても衝撃の大きな事故の場合に損傷してしまうことがあります。
背骨の中にある、脳から直接つながる太い神経が損傷されるタイプです。
脳からの指示が手足に届きにくくなりますので手足のまひや感覚の消失、強いしびれがおこります。
脊髄の損傷の度合いが大きければ、麻痺の症状が回復させるのはとても大変です。
脊髄が重度の損傷を受けてしまうと再生は非常に困難になります。
比較的に脊髄の損傷が軽度で回復の見込みがある時は
始めは麻痺していた筋肉が、治療を受けていくと段々に麻痺からしびれや痛みなどの症状に変わっていき回復していく場合もあります。
この場合は接骨院だけではなく、整形外科や鍼灸治療も取り入れながら治療を進めていく事が大切です。
➂ 自律神経の障害されたむちうち症
・脳底動脈血流障害型
頚椎がずれることで頚椎から脳に血液を送る椎骨脳底動脈の血流が悪くなることでおこります。
脳への血流が悪くなるので、頭痛や立ちくらみ、物事を考えにくくなる、記憶力の低下などもおこる場合があります。
・自律神経障害型
背骨の横を網の目を張るように走行する自律神経が損傷され炎症が起こることで発症します。
頭痛、頭の重たさ、めまい、耳鳴り、視力の低下、耳の閉塞感、集中力の低下、内臓機能の低下、吐き気などがおこる可能性があります。
自律神経の圧迫を直接とり除く施術を接骨院で行い、日頃からストレスをためない、体温や水分量などをなるべく一定に保つように意識する、睡眠をしっかりととることも大切です。今は自律神経の働きを調整する電気治療もあるため、そういった治療をしている接骨院でなるべく早く施術を開始した方がいいです。
④ 脳脊髄液減少症からくるむちうち症
脳脊髄液とは脳から脊髄をぐるっと包んでいる硬膜という膜の中に入っている透明な液体です。
交通事故の衝撃により硬膜に小さな穴が開いて脳脊髄液が漏れ出てしまい減少してしまうことでおこります。
立ち上がった時の頭痛やめまい、吐き気、視力の低下、集中力の低下などの症状が出現します。
これらのむちうちの症状はそれぞれのタイプが重複して現れることもあります。
そのような場合は患者様へのより一層の精神的なケアも重要になります。
・まとめ
むちうち症は重い頭がしなるときに頚椎を痛めるものをいう
【 追突されえる方向により特徴的な症状が起こりやすい 】
・前方から追突された場合は
とっさに色々な所に力が入るため
首はもちろん、手や腰、膝や足首なども痛めることがある
・側方からの追突は
もともと首が動かない方向に無理にしなるため
頚椎はダメージを受けやすく症状が長引きやすい
・後方からの追突の場合は
一番多いのがこのタイプ
前もって身構えられないため
不意に衝撃を受けることが多い
車の損傷はたいしたことなくても
頚椎のダメージは大きいこともある。
【 むちうち症は大きく4つの症状に分けられる 】
・頚椎捻挫型( 筋肉損傷型・椎間関節損傷型・椎間板損傷型 )
・神経症状型( 神経根損傷型・頚髄(脊髄)損傷型 )
・自律神経型( 脳底動脈血流障害型・自律神経障害型 )
・脳脊髄液減少症型
この辺りは
専門的な内容ばかりだったでしたよね。
みなさんはこれらを詳しく覚える必要はありませんが
むちうち症と一言でいっても様々なタイプがあるということはご理解いただけましたか?
大切なことは
むちうち症のでかたは人それぞれ違うということをしっかり認識した上で治療に臨むことだと思います。
接骨院や整形外科に通う時は遠慮せずに
ご自身の症状をしっかりと伝えてください。
治療院の先生もあなたの言葉を受け止めて
むち打ち症が回復するための治療に活かしてくれることと思います。